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JIS C 2504 (2000)電磁軟鉄 [1954-制定 1990-改正]


J I S (1966,75,90)
J I S (1954) 制定
JES 668



序文
この規格は、1996年に配布・意見照会されたIEC 60404-8-6改正案
(68/157/CDV),Magnetic materials, Part 8:Specification for individual
materials Section 6-Soft magnetic metalic materialsの中で分類され規格化されているA(Irons)を基に、対応する部分については対応国際規格を翻訳し、
技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお、この規格で、点線の下線を施してある箇所は、対応国際規格にはない事項である。

(1) 適用範囲
この規格は、リレー、電磁石、磁気クラッチ、ブレーキ、発電器、
モータなどの鉄心、継鉄、接極子、その他磁気シールドに用いる電磁軟鉄棒(以下、棒という。)、
ロッド(以下、ロッドという。)、線(以下、線という。)、板(以下、板という。)
及び条(以下、条という。)の一般事項、特性、形状及びその試験方法について規定する。

備 考
この規格の対応国際規格を、次に示す。
IEC 60404-8-6改正案(68/157/CDV):1996 Magnetic materials,
Part 8:Specifications for individual materials Section 6-Soft
magnetic metalic materials

参 考
上記IEC規格番号は、1997年1月1から実施のIEC規格新番号体系によるものである。
これにより前に発行された規格については、規格票に記載された規格番号に60000を
加えた番号に切り替わる。これは番号だけの切り替えであり、内容は同一である。



(2) 引用規格
次に掲げる規格は、この規格に引用されることによって、
この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格のうちで、
発行年を付記してあるものは、記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するものであて、
その後の改正版・追補には適用しない。
発行年を付記していない引用規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 2244 ピッカース硬さ試験-試験方法
JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験-試験方法
IEC 60404-1改正案(68/174/CDV):1998 Magnetic materials,
Part 1:Classifications
IEC 60404-4:1995 Magnetic materiaols, Part 4:Method of measurement of
d.c. magnetic properties of iron and steel



(3) 定義
この規格で用いる主な用語の定義は、次による。
a) 磁束密度 (magnetic flux density) 任意の点の磁界を定義するソレノイド軸ベクトル量、
単位は、テスラ(T)で表す。
b) 保磁力 (coercive field strength) 磁束密度を0にする磁界の強さ。単位は、
アンペア毎メートル(A/m)で表す。
c) 経時変化 (ageing) 100±5℃で、100時間後の保磁力の変化率。単位は、
パーセント(%)で表す。
d) 棒 (bar) 均一な断面をもち、その断面が円、正方形、長方形又は正多角形である
直線状の製品。
e) ロッド (rods) 均一な断面をもちその断面が円又は長方形である直線上の圧延
又は引抜き製品。
f) 線 (wire) 均一な断面をもちその断面が円又は長方形であるコイル状の冷間引抜き製品。
g) 薄板及び厚板 (sheet and plate) 均一な断面をもつ平たんに圧延されたコイル状又は
切板状の製品。幅が600mmを超え、厚さが5mm以下のものを薄板、5mmを超えるものを
厚板とする。
h) 条 (strip) 均一な断面をもつ平たんに圧延されたコイル状又は切板状の製品。
幅が600mm以下で、かつ、厚さが5mm以下のもの。
i) ロット (lot) 同一溶解単位、同一形状で同時に製造された材料。また、焼きなまし処理を
行うときは、同時又は連続炉で続けて行うもの。
j) 横まがり (edge camber) 板及び条の基準の長さLに対する弧の深さの最大値e(図1参照)。


表1 横曲がりの例

k) 平たん度 (flatness) 板及び条の急しゅん度(波の高さh/波の長さL)(図2参照)。
単位はパーセント(%)で表す。


表2 平たん度の例



(4) 種類及び記号
種類及び記号は、直流磁気特性の保持力の最大値によって区分し表1による。

表1 種類及び記号
種類及び記号
SUY-0
SUY-1
SUY-2
SUY-3
A-12
A-20
A-60
A-80
A-120
A-240



(5) 化学成分
電磁軟鉄の化学成分は、溶鋼分析によって、その値は表2による(IEC 60404-1参照)。

表2 化学成分
単位%(mass)(1)
種類及び記号 C Si Mn P(2) S(2) Al Ti
SUY-0 0.030以下 0.20以下 0.50以下 0.030以下 0.030以下 - -
SUY-1
SUY-2
SUY-3
A-12 0.030以下 0.10以下 0.03以上
0.20以下
0.015以下 0.030以下 0.08以下 0.10以下
A-20
A-60
A-80
A-120
A-240
(1) %(mass)が、質量パーセントを表す。
(2) 快削性を要求する場合、P及びSの値は、規格の上限値を超えてもよい。



(6) 品質
6.1 外観
仕上げ良好・均一で、使用上有害なきず、割れ、その他の欠陥があってはならない。

6.2 直流磁気特性
板、条、棒及び線は、8.2の試験を行い、その直流磁気特性は表3による。
この磁気特性は、熱処理した後の値である。
熱処理条件については、受渡当事者間の協定によることができる。
なお、経時変化については注文の際に要求された場合、10%を超えてはならない。

表3 直流磁気特性(3)
種類及び記号 保磁力
A/m
磁束密度 T
磁界の強さ A/m
100 200 300 500 1000 4000
SUY-0 60以下 0.90以上 1.15以上 1.25以上 1.35以上 1.45以上 1.60以上
SUY-1 80以下 0.60以上 1.10以上 1.20以上 1.30以上 1.45以上 1.60以上
SUY-2 120以下 - - 1.15以上 1.30以上 1.45以上 1.60以上
SUY-3 240以下 - - 1.15以上 1.30以上 1.45以上 1.60以上
A-12 12以下 1.15以上 1.25以上 1.30以上 1.40以上 1.45以上 1.60以上
A-20 20以下 1.15以上 1.25以上 1.30以上 1.40以上 1.45以上 1.60以上
A-60 60以下 - 1.15以上 1.25以上 1.35以上 1.45以上 1.60以上
A-80 80以下 - 1.10以上 1.20以上 1.30以上 1.45以上 1.60以上
A-120 120以下 - - 1.15以上 1.30以上 1.45以上 1.60以上
A-240 240以下 - - 1.15以上 1.30以上 - 1.60以上
(3) 断面が小さな棒、ロッド及び線に対する磁気特性は、製造の早い段階で作成された
S.R形リング(素材リング)試験片(8.2.1参照)で測定する。

6.3 硬さ及び耐曲げ性
板、条、棒及び線は、8.3及び8.4の試験を行い、その硬さ並びに板及び
条の耐曲げ性は、表4による。

表4 硬さ及び耐曲げ性
形状 硬さ 耐曲げ性
HV HRB
板及び条 85〜140 45〜75
試験片の外側に
裂けきずが生じないこと
棒及び線 110〜195 60〜90 -
備考 熱間加工品については、受渡当事者間の協定による。また、耐曲げ性については
厚さが25mm以上の場合、受渡当事者間の協定による。