MATERIAL|北浦鋼鈑株式会社

We're Fine! 手応え、自信あり。

FACTORY|全てオリジナルスペック。最新鋭機器がサポートしています。

JIS G 3313(1998)電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯


J I S
J I S
(1990)
(1971)

制定



序文
この規格は、ISO規格の普及促進のためには、ISO規格の内容を、鋼材の使用者に広く
情報提供することが大切であるとの観点から、1982年に第1版として発行された
当該鋼材のISO規格、ISO 5002、Hot-rolled and cold-reduced electrolytic
zinc-coated carbon steel sheet of commercial and drawing qualitiesを翻訳し、
技術的内容を変更することなく附属書として採用することにした。



(1) 適用範囲
この規格は、電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯(以下、板及び
コイルという。)について規定する。板及びコイルに使用する原板は、
通常JIS G 3113、JIS G 3131、JIS G 3134、JIS G 3135及びJIS G 3141による。
ただし、JIS G 3141による原板は、通常ダル仕上げの標準調質とする。



(2) 引用規格
次に揚げる規格は、この規格に引用されることによって、
この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格のうちで、
発行年を付記してあるものは、記載の年の版だけがこの規格の規定を
構成するものであって、その後の改正版・追補には適用しない。
発行年は付記していない引用規格は、その最新版を適用する。
JIS B 7721 引張試験機−力の検証方法
JIS G 0303 鋼材の検査通則
JIS G 1257 鉄及び鋼−原子吸光分析方法
JIS G 3113:1990 自動車構造用熱間圧延鋼板及び鋼帯
JIS G 3131:1996 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯
JIS G 3134:1990 自動車用加工性熱間圧延高張力鋼板及び鋼帯
JIS G 3135:1986 自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板及び鋼帯
JIS G 3141:1996 冷間圧延鋼板及び鋼帯
JIS G 3193:1990 熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状、寸法、質量及びその許容差
JIS H 0401 溶融亜鉛めっき試験方法
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS Z 2201 金属材料引張試験片
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法
JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験−試験方法
JIS Z 8401 数値の丸め方



(3) 種類及び記号
板及びコイルの種類は、熱間圧延原板(以下、熱延原板という。)を用いて16種類、
冷間圧延原板(以下、冷延原板という。)を用いて16種類とし、その記号は、表1及び表2による。



(4) めっきの付着量
板及びコイルには、両面のめっきの付着量が同一のもの(以下、等厚めっきという。)と
両面のめっきの付着量が異なるもの(以下、差厚めっきという。)及び片面だけめっきしたもの
(以下、片面めっきという。)とがあり、めっきの付着量表示記号及び
片面の最小付着量は表4による。ただし、差厚めっきの場合は
表4のめっきの最小付着量の組合せとする。
 めっきの付着量は、14.1によって試験を行い、その表し方は次による。
a) 板の場合は、積載された板の上面のめっきの
最小付着量/下面のめっきの最小付着量(例 E16/E16)とする。
b) コイルの場合は、コイルの外面のめっきの
最小付着量/内面のめっきの最小付着量(例 E16/E32)とする。
c) 片面めっきの場合は、片面めっきの鉄面/板又は
コイルの面のめっきの最小付着量(例 ES/E40)とする。
d) 必要に応じて板又はコイルに差厚めっきであることを表すマークを付ける場合は、
マークをつけた面のめっきの最小付着量の後にDを付記する。(例 E8/E16D)。



(5) 化成処理
板及びコイルの化成処理の種類及び記号は、表5による。
ただし、特に指定がない限りクロム酸処理とする。



(6) 塗装
板及びコイルの塗油の種類及び記号は、表6による。ただし、特に指定がない限り無塗油とする。



(7) 機械的性質
機械的性質は、次による。ただし、表1備考によってSEHC、SEHD及びSEHEの表示厚さを
受渡当事者間で協定した場合、及び表2備考3.によってSECC,SECD及びSECEの
表示厚さを受渡当事者間で協定した場合の機械的性質は、受渡当事者間の協定による。
a) 試験項目
板及びコイルの試験項目は、曲げ試験及び引張試験とする。
b) 曲げ性
板及びコイルは、14.2の試験を行い、その曲げ性は表7、表8又は表9による。
なお、その外側表面(試験片の幅の両端からそれぞれ7mm以上内側の部分)に、
めっきはく離、素地のき裂(肉眼で認められるもの)又は破断を生じてはならない。
c) 降伏点、引張強さ、伸び、非時効性及び塗装焼付硬化量
板及びコイルは、14.の試験を行い、その降伏点又は、
耐力、引張強さ、伸び、非時効性及びSEFC340の塗装焼付硬化量は、表10又は表11による。
備考 ここでいう降伏点とは、上降伏点をいう。



表1 種類及び記号(熱延原板を用いた場合)
単位mm
種類の記号 表示厚さ 適用
主な用途 対応するJIS原板
の種類の記号
SEHC 1.6以上
4.5以下
一般用 SPHC
SEHD 絞り用 SPHD
SEHE 1.6以上
4.5以下
深絞り用 SPHE
SEFH490 1.6以上
4.5以下
加工用 SPFH490
SEFH540 SPFH540
SEFH590 SPFH590
SEFH540Y 2.0以上
4.0以下
高加工用 SPFH540Y
SEFH590Y SPFH590Y
SE330 1.6以上
4.5以下
一般構造用 SS330
SE400 SS400
SE490 SS490
SE540 SS540
SEPH310 1.6以上
4.5以下
構造用 SAPH310
SEPH370 SAPH370
SEPH400 SAPH400
SEPH440 SAPH440
備考 SEHC、SEHD及びSEHEについて、
表1以外の表示厚さは、
受渡当事者間の協定による。



表3 調質区分及び記号
調質区分 記号
焼なましのまま A
標準調質 S
1/8硬質 8
1/4硬質 4
1/2硬質 2
硬質 1
表2 種類及び記号(冷延原板を用いた場合)
単位mm
種類の記号 表示厚さ 適用
主な用途 対応するJIS原板
の種類の記号
SECC 0.4以上
3.2以下
一般用 SPCC
SECD 0.4以上
3.2以下
絞り用 SPCD
SECE 0.4以上
3.2以下
深絞り用 SPCE
SEFC340 0.6以上
2.3以下
絞り加工用 SPFC340
SEFC370 SPFC370
SEFC390 0.6以上
2.3以下
加工用 SPFC390
SEFC440 SPFC440
SEFC490 SPFC490
SEFC540 SPFC540
SEFC590 SPFC590
SEFC490Y 0.6以上
1.6以下
低降伏比型 SPFC490Y
SEFC540Y SPFC540Y
SEFC590Y SPFC590Y
SEFC780Y 0.8以上
1.4以下
SPFC780Y
SEFC980Y SPFC980Y
SEFC340H 0.6以上
1.6以下
焼付硬化型 SPFC340H
備考 1. SECCの標準調質及び焼なましのままの板
及びコイルは、注文者の指定によって、
引張試験を保証する場合、
種類の記号の末尾に
Tを付けてSECCTとする。
2. SECEの標準調質の板及びコイルは、
注文者の指定によって、
非時効性を保証する場合、
種類の記号の末尾に
Nを付けてSECENとする。
非時効性とは、加工の際に
ストレッチャー
ストレインを発生しない
性質をいう。
3. SECC、SECD及びSECEについて
表2以外の表示厚さは、
受渡当事者間の協定による。
4. SECC、SECD又はSECEの調質区分の
記号は、表3による。

表4 めっきの付着量表示記号及び片面の最小付着量
単位g/m2
めっきの片面付着量表示記号 めっきの最小付着量(片面) (参考)
めっき標準付着量
(片面)
等厚めっきの場合 差厚めっきの場合
ES - (1) -
EB 2.5 - 3
E8 8.5 8 10
E16 17 16 20
E24 25.5 24 30
E32 34 32 40
E40 42.5 40 50
(1) エッジ部を除きめっき付着量50mg/m2以下とする。
備考 40g/m2を超えるめっきの付着量表示記号及び最小付着量は、
受渡当事者間の協定による。

表5 化成処理の種類及び記号
化成処理の種類 記号
クロム酸処理 C
りん酸塩処理 P
無処理 M
備考 表5以外の化成処理の種類については、
受渡当事者間で協定する。
表6 塗油の種類及び記号
塗油の種類 記号
塗油 O
無塗油 X

表7 曲げ性(熱延原板を用いた場合)
種類の記号 曲げ角度180° 試験片
及び方向
曲げの内側半径
表示厚さmm
1.6以上 2.0未満 2.0以上 3.2未満 3.2以上
SEHC 密着 密着 厚さの0.5倍 3号、
圧延方向
SEHD 密着 密着 密着
SEHE 密着 密着 密着
SEFH490 厚さの0.5倍 厚さの0.5倍 厚さの1.0倍 3号、
圧延方向に
直角
SEFH540 厚さの1.0倍 厚さの1.0倍 厚さの1.5倍
SEFH590 厚さの1.5倍 厚さの1.5倍 厚さの1.5倍
SEFH540Y 厚さの1.0倍 厚さの1.0倍 厚さの1.5倍
SEFH590Y 厚さの1.5倍 厚さの1.5倍 厚さの1.5倍
SE330 厚さの0.5倍 厚さの0.5倍 厚さの0.5倍 1号、
圧延方向又は
厚延方向に
直角
SE400 厚さの1.5倍 厚さの1.5倍 厚さの1.5倍
SE490 厚さの2.0倍 厚さの2.0倍 厚さの2.0倍
SE540 厚さの2.0倍 厚さの2.0倍 厚さの2.0倍
SEPH310 密着 厚さの1.0倍 厚さの1.0倍 3号、
圧延方向に
直角
SEPH370 厚さの0.5倍 厚さの1.0倍 厚さの1.0倍
SEPH400 厚さの1.0倍 厚さの1.0倍 厚さの1.0倍
SEPH440 厚さの1.0倍 厚さの1.5倍 厚さの1.5倍

表8 曲げ性(冷延原板を用いた場合)
種類の記号 調質区分 曲げ角度180° 試験片及び方向
内側半径
SECC
SECD
SECE
焼なましのまま 密着 3号、圧延方向
標準調質 密着
SECC 1/8硬質 密着
1/4硬質 厚さの0.5倍
1/2硬質 厚さの1.0倍
硬質 -
備考 1. 焼なましのまま及び標準調質の板及びコイルについては、試験を省略することができる。
2. 1/8硬質、1/4硬質及び1/2硬質の板及びコイルは、注文者から要求のある場合に適用する。

表9 曲げ性(冷延原板を用いた場合)
種類の記号 曲げ角度180° 試験片及び方向
内側半径
SEFC340 密着 3号、圧延方向に直角
SEFC370 密着
SEFC390 密着
SEFC440 密着
SEFC490 密着
SEFC540 厚さの0.5倍
SEFC590 厚さの1.0倍
SEFC490Y 密着
SEFC540Y 厚さの0.5倍
SEFC590Y 厚さの1.0倍
SEFC780Y 厚さの3.0倍
SEFC980Y 厚さの4.0倍
SEFC340H 密着

表10 降伏点、引張強さ及び伸び(熱延原板を用いた場合)
種類の記号 降伏点
又は耐力
N/mm2
引張強さ
N/mm2
伸び% 試験片
及び方向
表示厚さ mm
1.6以上
2.0未満
2.0以上
2.5未満
2.5以上
3.15未満
3.15以上
3.2未満
3.2以上
4.0未満
4.0以上
4.5以下
SEHC - 270以上 29以上 29以上 29以上 29以上 31以上 31以上 5号、
圧延方向
SEHD - 270以上 32以上 33以上 35以上 35以上 37以上 39以上
SEHE - 270以上 33以上 35以上 37以上 37以上 39以上 41以上
SEFH490 325以上 490以上 22以上 23以上 24以上 24以上 25以上 25以上 5号、
圧延方向
に直角
SEFH540 355以上 540以上 21以上 22以上 23以上 23以上 24以上 24以上
SEFH590 420以上 590以上 19以上 20以上 21以上 21以上 22以上 22以上
SEFH540Y 295以上 540以上 - 24以上 25以上 25以上 26以上 26以上
SEFH590Y 325以上 590以上 - 22以上 23以上 23以上 24以上 24以上
SE330 205以上 330〜430 26以上 26以上 26以上 26以上 26以上 26以上 5号、
圧延方向
又は5号、
圧延
方向に
直角
SE400 245以上 400〜510 21以上 21以上 21以上 21以上 21以上 21以上
SE490 285以上 490〜610 19以上 19以上 19以上 19以上 19以上 19以上
SE540 400以上 540以上 16以上 16以上 16以上 16以上 16以上 16以上
SEPH310 (185)以上 310以上 33以上 34以上 36以上 38以上 38以上 40以上 5号、
圧延方向
SEPH370 225以上 370以上 32以上 33以上 35以上 36以上 36以上 37以上
SEPH400 255以上 400以上 31以上 32以上 34以上 35以上 35以上 36以上
SEPH440 305以上 440以上 29以上 30以上 32以上 33以上 33以上 34以上
備考 括弧内の数値は、参考値を示す。

表11 降伏点、引張強さ、伸び、非時効性及び塗装焼付硬化量(冷延原板を用いた場合)
種類の記号 降伏点
又は耐力
N/mm2
引張強さ
N/mm2
伸び% 塗装焼付
硬化量
N/mm2
試験片及び方向
表示厚さ mm
0.40以上
0.60未満
0.60以上
1.0未満
1.0以上
1.6未満
1.6以上
2.3未満
2.3以上
2.5未満
2.5以上
SECC - (270以上) (34)以上 (36)以上 (37)以上 (38)以上 (38)以上 (39)以上 - 5号、圧延方向
SECD - 270以上 36以上 38以上 39以上 40以上 40以上 41以上 -
SECE - 270以上 38以上 40以上 41以上 42以上 42以上 43以上 -
SEFC340 175以上 340以上 - 34以上 35以上 35以上 - - - 5号、圧延
方向に直角
SEFC370 205以上 370以上 - 32以上 33以上 33以上 - - -
SEFC390 235以上 390以上 - 30以上 31以上 31以上 - - -
SEFC440 265以上 440以上 - 26以上 27以上 27以上 - - -
SEFC490 295以上 490以上 - 23以上 24以上 24以上 - - -
SEFC540 325以上 540以上 - 20以上 21以上 21以上 - - -
SEFC590 355以上 590以上 - 17以上 18以上 18以上 - - -
SEFC490Y 225以上 490以上 - 24以上 25以上 25以上 - - -
SEFC540Y 245以上 540以上 - 21以上 22以上 22以上 - - -
SEFC590Y 265以上 590以上 - 18以上 19以上 19以上 - - -
SEFC780Y 365以上 780以上 - 13以上 14以上 14以上 - - -
SEFC980Y 490以上 980以上 - 6以上 7以上 7以上 - - -
SEFC340H 185以上 340以上 - 34以上 35以上 35以上 - - 30以上
備考 1. SECCは、通常引張試験を適用しない。ただし、
注文者から要求のある場合は、括弧内の数値を適用する。
2. SECC、SECD及びSECEの厚さ0.6mm未満については、通常引張試験を省略する。
3. 表11は、SECC、SECD及びSECEについては幅30mm以上のものに適用する。
4. SECEの標準調質の板及びコイルで非時効性の指定がある場合は、
製造工場出荷後6ヶ月間、非時効性を保証する。

d) 硬さ
SECCの板及びコイルは、14.5の試験を行い、その値は、表12による。



(8) 寸法の表し方
板及びコイルの寸法の表し方は、次による。
a) 板の寸法は、厚さ、幅及び長さをミリメートルで表す。
b) コイルの寸法は、厚さ及び幅をミリメートルで表す。ただし、コイルの質量
が計算質量による場合は、その長さをメートルで表す。
c) 板及びコイルの厚さは、めっき前の原板厚さをミリメートルで表し、これを表示厚さとする。

表12 硬さ
種類の記号 硬さ
HRB HV
1/8硬質 50〜71 95〜130
1/4硬質 65〜80 115〜150
1/2硬質 74〜89 135〜185
硬質 85以上 170以上
備考 硬さは、ロックウェル硬さ(HRB)又は
ビッカース硬さ(HV)のいずれかを適用する。

表25 質量の計算方法
計算順序 計算方法 結果のけた数
原板の基本質量 kg/mm・m2
7.85(厚さ1mm・面積1m2)
原板の単位質量 kg/m2
基本質量(kg/mm・m2)×表示厚さ(mm) 有効数字4けたに丸める
めっき後の単位質量 kg/m2
原板の単位質量(kg/m2)+
 めっき量定数(表26又は表27による。)
有効数字4けたに丸める
板の面積 m2
幅(mm)×長さ(mm)×10-6 有効数字4けたに丸める
1枚の質量 kg
めっき後の単位質量(kg/m2)×面積(m2) 有効数字3けたに丸める
1結束の質量 kg
1枚の質量(kg)×同一寸法の1結束内の枚数 kgの整数値に丸める
総質量 kg
各結束質量(kg)の総和 kgの整数値
備考 1. 総質量の計算方法は、板1枚の質量(kg)×総枚数でもよい。
2. 厚さ、幅及び長さは、表示の寸法を用いる。
3. 数値の丸め方は、JIS Z 8401による。

表26 質量の計算に用いるめっき量定数(等厚めっきの場合)
めっきの付着量表示記号 EB E8 E16 E24 E32 E40
めっき量定数 0.006 0.018 0.036 0.054 0.072 0.090

表27 質量の計算に用いるめっき量定数(差厚めっきの場合)
めっきの付着量表示記号 EB E8 E16 E24 E32 E40
めっき量定数(片面) - 0.009 0.018 0.027 0.036 0.045
備考 表25の計算に使用する場合は、片面のめっき量定数の和とする。